妥協。

父親・母親・妹家族の家にいる事は、私にはとても居心地が悪かった。

早く家から出る為に、自立する為に私が選んだ道。

それが

「手に職をつけて、自分の力で生きて行く事」

だった。

高校卒業と同時に、友達と都内へ出てルームシェアをし、美容学校へ通いながら、バイトで生活費を稼ぐ毎日。

最初は学校卒業後、就職先に困らなくて、技術が身につき、それで生活していける仕事を他に見つけていたとしたら、別に美容師以外でも良かったのかも知れない。

けれど最終的には自分の進みたい道だと思うようになった。

初めて自分の自由にできる生活を手に入れた。
初めて楽しいと思える生活が送れるようになった。

就職活動もスムーズに行き、仕事が始まった時に初めて自分の体質を知る事になる。

アレルギー・アトピー体質。

手荒れは発症したら、すごいスピードで進行して行った。
クリームを塗っても、手袋をしても、追いつかない。

病気は弱いところに出るもので、今まで我慢する事や、やらなければならない、こうしなくれはいけない・・・と考える事で自分の気持ちをコントロールして来ていた私は、知らず知らずのうちに自分自身を追い込んでしまい、心身的な病気も発症してしまった。

慢性疾患で、現代の医学でも原因がまだはっきりしていない、治療薬もない病気。

悩んだ末仕事を辞め、止む無く実家に帰って来たけれど・・・。

相変わらず居心地の悪い家。

結局実家を頼りにしてしまった自分が本当に許せなかった。
情けないと思った。

本当にやりたい事を見つけたのに、続けられなかった事、自分の力だけでどうにも出来なかった事・・・。

何か始めなければいけない。
やるべき事は沢山あるのに。


・ 

母親1人だけの母子家庭だったら、きっと学校には行けなかった。
その面では父親には感謝している。

けれど。

私は未だに、父親というものが何の為に存在するのか分からない。

父親というのは、
・・・経済的援助でしかないと思っている部分が未だに拭い去れない。





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